ベランダ -KYOKO

From -PatiPati's Thanks TEXTS -SERIES*PLACES OF LOVE

「ベランダだって外とおんなじなんですからねっ」

口ではそう言ってみるけれど、そしてそれは決して間違ってるわけじゃないんだけど、
やっぱり2人で過ごす楽しみにはかえられない。
だけど!
一緒にいられるならどこでも…なんて言っておいて、そうじゃないときもある。

そう思っていながら、
仕事場所である楽屋にお邪魔して少しだけ恋人モードなこともあるし、
事務所や現場の駐車場でこっそりキスしたりすることもある。
見つかったら…って思ってるのとおなじくらい、
何もかもを放り出して敦賀さんに逢いたい、とか、触れたい、とか
抱きしめてほしい、とか、そんなことを願ってしまう。
罪深い…のかしら。

「わかってる」

この「わかってる」は、「ベランダだって~」に対しての答えじゃない。
ベランダがダメなのは、一緒にいるのがダメってこととは違うんです、と
さっき私が言った言葉を受けてのもの、だと思う。
そうよね。敦賀さんはいろんなことをちゃんとわかっててくれてる。
拒否する言葉はあまり言わないようにしてるけど、
時にそんなことを口にする私の意図も、何もかもわかってくれる。
それに、今もし運悪くこんな状況を誰かに見られたとしても
こんなに高い場所なら、敦賀さんと一緒なのが私、ってことまではわからないんじゃないかな。
そう思ったら、もう少しいつもみたいにちゃんと恋人っぽくしてみたくなった。
私をしばる敦賀さんの腕に手をかけて、少しずつ緩めてもらってから
身体を回転させて、もっとぴったりとくっついた。
こんなことだけですごく幸せな気持ち。

…こんなことって、ちょっと言い方悪いかな。
敦賀さんに抱きしめてもらうのは、とっても普通で…とっても特別なこと。
うふふ。


2009/10/16 OUT
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