エレベーター -KYOKO

From -PatiPati's Thanks TEXTS -SERIES*PLACES OF LOVE

もう、なんてことするんだろう、敦賀さんって。
時間差でエレベーターに乗るために少しの間だけ1人になって、
なんていうか歩いていく彼の背中をちょっぴり寂しい気持ちで見てて、
そういうささいなことにさえ、敦賀さんを好きな自分の想いが潜んでるんだ、って
なんとなく…か…感傷にひたってたというのに。
何度も繰り返してることを、永遠の別れっぽく感じてる自分がなんだかおかしくて、
でも同時に敦賀さんのお部屋へ行くときの嬉しいような照れくさいような感じで、
戻ってくるからのエレベーターを待って、ドアが開くのを見た時の私のびっくりした様子ときたら。

「怒った?」

さほど悪いとは思っていないような素振りで、敦賀さんが私に向かってそう問いかける。
…怒ってますっ。
怒って…るんだけど手は繋いじゃってるし…説得力ない、かあ…。
まあ、すっごく怒ってるわけじゃない。
実際敦賀さんの姿を見た時には、自分がどんなに彼のことを好きなのか、
よーくわかったもの。
それから、(多分)私をびっくりさせたくてこんなことをしかけたことへの気持ちとか
普段、敦賀さんに抱いてるたくさんの種類の感情がぶわっと流れ出た。
機嫌なおして?といいながら、だんまりを決め込んだ私を、ごめんね、と敦賀さんがぎゅっと抱きしめた。

別にそんなに言うほどじゃないんだけど…なんとなくこのままなし崩しに
彼のペースなのもシャクな気がして、大人しく抱きしめられはしたものの、
自分からは腕は回さないようにしてみた。
けど、ダメ。
だって抱きしめられたら反射的に私も敦賀さんを抱きしめてしまうんだもの…。


2009/12/20 OUT
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