お風呂から上がってきた敦賀さんが、ベッドルームのドアを開けた。
敦賀さんの気配を感じてしまうと、読んでいた本に途端に集中できなくなってしまう。
待つのはなんでもないのにね。どうしてかな。
濡れた髪をタオルで拭いながらベッドの端に敦賀さんが乗ると、
少しだけ大きなベッドが音を立てる。
こ~んなに大きなベッドなのに、ううん、だからこそ、なのかな。
2人でベッドの上にいる感じが際立ってる気がする。
本を閉じて近づいてきた敦賀さんの方を向く。
濡れた髪が放つフェロモンみたいなものにやられて、なんだか無性にドキドキしてしまう。
「何かいいことありました?」
なんとなく敦賀さんの顔が嬉しそうに見えて、そんなことを聞いてみる。
私の言葉にもう一段階顔をゆるませて、湿った髪が私に触れるくらい近くで
「ん、まあね」と敦賀さんの低い声が響いた。
いいこと…なんだろう。後で教えてもらおう。
私もいいことあったんですよ、敦賀さん。
逢えたこと、お泊りできること、あと…色っぽい敦賀さんを見ることができて…うふふ。
なんて1人の世界にハマりこんでいたら、ぎゅうっと抱きしめられた。
「愛してるよ」
抱きしめられた後、小さくキスをして、離れていく唇を見ていたら
そんな風に聞こえて来て、反応したほっぺたがぐーんと熱くなる。
も…っ…敦賀さんは言い慣れてるから臆面もなく言えるんだろうけど、
言うのも聞くのも慣れてない私に何度もそんなこと言ったりして…
で、でも嬉しくないわけじゃ、ないんですよ?
だって私も敦賀さんのこと…あ…あ…愛して…
2009/04/05 OUT