HAPPY HAPPENING MORNING -KYOKO

From -PatiPati's Thanks TEXTS -SERIES*SCENE OF CUTIE DAYS HAPPINESS

「つーるーが…さん…」

穏やかな寝顔。
髪にそっと触れて指先で敦賀さんを確かめてから、そっと名前を呼んでみた。

昨夜は彼の部屋に泊まって、いっぱい触れて触れられて。
んー…まだ、少し慣れないな。
本当は、何も身につけていない状態なのをずーっと見られちゃうのも死ぬほど恥ずかしいんだけど、
敦賀さんが、そんな風に恥ずかしい私をどこかへ消し去ってしまうの。
唇や指や身体全体で、私も知らない私を探し当ててしまう。

だけどそうやって何も隔てるものがないままで、敦賀さんと抱き合うのは
恥ずかしいけどとっても幸せなことだって思い始めた。
言葉では説明できない。
言葉にしちゃったら、それだけの意味しか持たせられない気がするの。
簡単に言葉にできないからこそ、幸せなんだって思う。
敦賀さんに対して抱く気持ちすべてをひっくるめると、「幸せ」になる。

だけど、私にも敦賀さんにもわかりやすいように意味を持たせたくて
好き、って心で呟くの。敦賀さんは私に好きって言ってくれるの。
だから、好き、も「幸せ」。
そしてふたりの想いが一緒なら、それはとてもとても幸せな、「好き」。
私の好き、は、あなたの笑顔かな。
あなたが微笑んでるだけで、とっても幸せな気持ちになれる。
敦賀さんが幸せだと、私もそれだけで嬉しい。
ふたりで分け合う幸せは、ひとりずつのときの何倍にもなるって、わかったの。

床にばらまいてあった服を身につけた後、
敦賀さんに気付かれないようにベッドルームを抜けてキッチンに向かった。
冷蔵庫を開けて卵を取り出す。

今日はオフでもなんでもなくて、ふたりとも仕事なんだけれど
こうして敦賀さんと一緒に迎える朝には必ず食事を用意する。
一緒にいられる夜が長く続いて欲しいと思ってしまうけれど
たとえほとんど時間がなくたって、朝を一緒に過ごすのも本当に好き。

今はこんな生活が精一杯。
もしかしたら、こんなことを願うのが無理なことなのかもしれない。
そう思いながら、でも、そのうちずっと同じところで一緒に暮らせたら、
きっと今の何倍も大変かもしれないけど、もっともっと幸せになれるのかも。

今のこの関係は、神様がくれた甘くてちょっと苦い試練なのかな。
幸せなはずなのに、敦賀さんが私を好きでいてくれることが確信できたと思ったら
間をおかずにすぐ次を望んでしまうなんて。

目覚めたばかりなのに、今日はやたらといろいろなことを考えてしまう。
きっと昨夜くっつきすぎてたせいだ。
今だって私の周りの空気、敦賀さんの香りがするもの。
敦賀さんのせい。どうしてくれるのよ?

「わ……っ、すごーいっ」

見当違いな八つ当たりに、卵を力任せにボウルに割りいれると、中には黄身がふたつ。

すごいすごいすごーーーい!
今日も何かいいこと、ありそう。
オムレツにしようかと思っていたけど、目玉焼きにしよう。
双子の黄身は、敦賀さんにあげよう。ビックリしてくれるかな?楽しみ。
敦賀さんにもたくさんたくさんいいことがありますように。
そしたら、敦賀さんも幸せで、そんな敦賀さんを見てる私もきっと幸せ。

幸せって、ふたりで分け合うのは2倍じゃない。
もっともっといっぱいの幸せ、だよね。
そうね…今日は目玉焼きに黄身が2つあるから、少なくとも4倍には、なるかな?



2006/06/30 OUT
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