戯れにつけていたテレビの音が、新しい年の来訪を伝えている。
あいにくとそっちに意識を向けることが難しく、
俺は目の前の恋人でいっぱいいっぱいだ。
俺の部屋にあるのよりはずいぶんと狭い、だけどとりあえずは2人眠れる、
そんなベッドの上で、達してしまいそうなのを懸命にこらえてみる。
いわゆる大人のおもちゃ、というやつで彼女にしたことの仕返し。
ここ、つまりドライブをしている時にいきなり現れたラブホテル、についてすぐ
腰砕けになっている彼女を抱きかかえて部屋にとりあえず雪崩れ込んだ。
もちろんそういうことをする為だったんだけど、とりあえず、と思いテレビをつけると
横たわっていたはずの
彼女が俺をベッドに押し倒した。
驚いていると、瞳が潤み、頬も上気している彼女が
車中で何度も快感を浴びたその身体でもって、俺を脱がしにかかる。
何を、と言い掛けた口は彼女の唇でふさがれて、キスをする間、半端に脱がされたままでいたら
その手がすっと下半身に伸びて、ファスナーの上から俺をたどたどしくも慣れた手つきで探る。
半ばその勢いに負けて身体を預けていると、キスを終えて離れた唇が、お仕置きです、と告げた。
迷いもなくファスナーを下ろし、
中途半端に昂ぶっていた俺のそれ、を口に含み、同時に細い指が扱いていく。
まさかこんなことになるとは思わなくて、だけどいきなりの訪れに
すぐに「そう」なっていく自分がなんともおかしくて、
そしてその奉仕がとても気持ちよくて、思わず視界が揺れる。
「…キョーコ…」
「もうっ…ゆるさないんですからっ…」
うん、ごめん。
でも…君は怒るだろうけど…すごく可愛かった。
部屋まで我慢できなくて、自業自得だろうけど、まさかこんなことをしてくれるなんて。
君はお仕置きだと思ってるのかな…とんでもない。
すごく…気持ちいいよ…ヤバいくらい。
「あん、もう…すぐにおっきくなっちゃった…」
「…キョーコちゃんは…悪い子だね…」
「それはつるがさん、なんです…からね?」
わかってるのかな、と、亀頭をちゅうっと吸い上げながら呟く彼女の濡れた声が遠くに聞こえる。
腰のあたりでもぞもぞと蠢いていたものがじわりと背中を駆けようとするのに気づいて、
忙しく動く彼女の頭を手を押さえようとしたら払いのけられた。
「キョーコ、まっ…」
高まる射精感に少しのけぞりながらなおも彼女に手を伸ばす。
視界をもう一度彼女に向けると、俺の手を自分のあいている手でぎゅっと握り、
上目遣いで俺を見つめながら、口に含んだ俺をもてあそぶようにふるふると首を振る、
その振動が身体全体に響いて、瞬間、こらえきれず彼女の口の中に放出してしまった。
すべてを支配していた彼女が待ち構えたように強く吸い上げて
指はそれをなだめるようにゆっくりと動き、そして喉がごくんと俺が出したものをすべて飲み下す。
一部始終を眺めていると、口を拭った彼女が嬉しそうに、美味しい、と笑う。
そんなわけないだろうに…と思って彼女の頬に手をやる。
する、と撫でたら、彼女の顔が近づいてきて、押し付けられた唇から強引に舌がねじこまれた。
音を立てるほど深い口づけ。
「つぎはわたしに…ください…」
果てたばかりの俺を手にとって、するすると指を滑らせる。
俺の肩に手を置いてまたがり、蜜を滴らせた自分の秘所にぴたっと密着させて
腰を前後にゆっくり揺らめかせた。
深く繋がったわけでもないのに、彼女があふれさせる蜜によってそれと変わらない音が部屋に響く。
たまらず勃起を始めた俺自身を手で導いて、彼女は改めて腰をゆっくりと沈めた。
俺を残らず身体に収めて、うっとりと目を閉じてため息をつく。
そしてそれだけじゃ満足できないというように俺の身体を支えにして、
少しずつ自分で快感を求めて動き始めた。
どこの誰が、彼女がこんな風に男を誘惑するなんて想像できるだろう。
願わくばこんな彼女を知っているのは、この先も俺だけでありたい。
そうじゃないと…嫉妬でおかしくなってしまいそうだ。
「あん、あぁ、あ…っ…ね、つるがさ、ん…きもちいい?」
気持ちいいよ…と答えたけれど声にならずに空気に溶けていく。
こんな風に迎える今年一年も、多分彼女に翻弄されっぱなしなんだろう。
なんてこと…今に始まったわけじゃ、ないんだけど…
2008/12/31 OUT