My Sweetest -KYOKO

From -LOVERS

いただきます。

そう言って敦賀さんが食べ始めるのをそっと見つめた。

今日はどうかな…美味しそうに食べてくれるかな。

…敦賀さんのために食事を作り始めてもう…ずいぶんたつけど
この瞬間だけは、ちょっぴり緊張する。
がんばって作ってるけど、きちんと食べてくれるかなって。

でも、いつも…美味しそうに食べてくれる。

ほら、今日も。

「敦賀さん、美味しい?」

今日は、私の好きなハンバーグ。
スープも作ったの。
サラダもあるから、きちんと野菜も食べてね。
最近忙しくてちっとも逢えなくて
テレビ電話でも顔色があんまり良くなかったから…
お肉の方がいいのかな、って。

「すごく美味しいよ」

食べながら、甘やかに微笑んでくれる。
言葉だけじゃなく、本当に美味しそうに食べてくれてて。
それだけでもう…すごく幸せ。
私、それだけで、お腹いっぱい。

ね、自分で気付いてる?

敦賀さん、昔は、食べられれば何でもいいって
言ってたよね?

「キョーコ、おなかすいた…何か食べさせて」

敦賀さんがそんな風に言う日が来るなんて
誰が想像したと思う?

それも、私にだけ…だよ?

社さんが呆れてたの。
あの、敦賀 蓮が、おなかすいたーって、
恋人に逢いたくてその手料理が食べたくなって不機嫌になるなんて、って。

「食べてくれるのはいいけどね、キョーコちゃんが作ったのがいいって
 無言で訴えて来るんだよ?…そんなワガママ言うなって怒っといてね?」

そんなこと言ってるの?ってちょっと恥ずかしかった。
だけど、社さんを困らせちゃうのはダメだけど
私にはワガママ言ってね?

そういうの、すごく嬉しいの。
誰も知らない敦賀さんを、私だけが、知ってる。
社さんも、知らないよね…。
もっといっぱい、見せて欲しいな…。

「食べないの?好きだろ、ハンバーグ」

敦賀さんが、私の視線に気付いたのか、
こっちを見て笑いながら問う。

あなたの笑顔は好き。
安心できるのに、それ以上にドキドキして…
それがなんとなく心地よくて。

「食べますよ?・・・いただきます」

自分も、目の前のハンバーグを食べ始める、けれど。
それでも、敦賀さんの食べているところを見ていたくて。
ドキドキしながら。

ね、敦賀さん。
これからも、ずっと…私の作ったご飯、食べてくれる?



2005/10/06 OUT
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